入眠障害とは?

入眠障害
Difficulty Falling Asleep

入眠障害とは

毎晩床に入ってもなかなか寝つけない、眠りにつくのに30分~1時間以上かかり、それを苦痛と感じる状態です。不眠症の訴えで最も多く、不安や緊張が強い時におこりやすいといわれています。多くの入眠障害においてよく見られる事は「睡眠や安眠に関する緊張で交感神経(=身体を緊張させ覚醒させる神経)が活発化し、更に眠れなくなってくる」という負のスパイラルです。睡眠の環境を整えたり、認知行動療法を行ったり、依存性の少ないお薬の力を借りて、負のスパイラルから脱却することが大切です。

入眠障害の人の声

いざ寝ようと思うと体が無意識のうちに緊張したり、不安が高まって眠れなくなる…

10時に布団に入っても、結局寝れるのは1時か2時。毎日4-5時間しか眠れない日々が続いてて困る…

毎日、「今日は寝られるだろうか。」と昼間から心配になり、目の前の事に集中できなくなるし、もう悩みたくない…

入眠障害の原因

入眠障害はさまざまな要因によって引き起こされます。
主な原因は以下のように大別されます。

加齢・ストレス

年齢を重ねると「睡眠時間の短縮」「睡眠覚醒リズムの変化」がほとんどの方に見られます。その結果、日本の多くの方が入眠障害を経験します。また、家族や学校、仕事などの人間関係によるストレスでも入眠障害になることがあります。ストレスといっても、ネガティブな要素だけではなく、新しい環境での生活や楽しみな行事の前日なども無意識にストレスを感じるものです。

不眠に関する誤った認知

人間は年齢を重ねると若い時の様な長く深い睡眠が取れなくなります。その認知を変えないまま、「昔は8時間寝れていたのに今は6時間しか寝れないから不眠だ」と思う方がおられますが、必ずしも不眠で悩む必要のない方もいます。

基礎疾患がある場合

糖尿病や呼吸器疾患、高血圧などの病気の場合は、入眠障害を併発することがあります。けがやリウマチなどの痛みが伴うものや、蕁麻疹・アトピー性皮膚炎などのかゆみも入眠障害の原因です。

うつ病などの精神疾患

うつ病の方の多くが併発する病気に、入眠障害をはじめとする不眠症があります。寝付けない回数が増えるにつれて不安になります。そして、不安感から眠れなくなるという負のスパイラルに陥る可能性があるのです。

睡眠関連疾患

特に知られているのは「睡眠時無呼吸症候群」「レストレスレッグス症候群」です。前者は睡眠時に気道が閉塞し無呼吸の時間帯が出現する事で身体的に非常に負荷がかかる疾患、後者は脚がむずむずして床に入っても全く落ち着かず入眠どころではなくなる疾患です。この内、レストレスレッグス症候群は入眠障害の原因となります。

アルコールや薬の影響によるもの

ステロイドや抗がん剤など、特定の薬の影響で入眠障害になることがあります。また、アルコール、カフェイン、タバコに含まれるニコチンなどの過剰摂取は、睡眠の質を大きく低下させる原因です。

生活習慣・生活環境

生活環境の変化も、入眠障害を引き起こす可能性があります。海外旅行や出張などによる時差ボケ、シフト制(夜勤勤務)での昼夜逆転が続くと、体内時計に影響を及ぼすため注意が必要です。また、寝具や光、騒音、室温などの就寝環境も不眠の原因となります。

入眠障害の治療適応

以下に当てはまる方は、「入眠障害」治療適応となります。

  • 寝ているはずなのに疲れが取れない
  • 緊張したり不安が高まって眠れない
  • 寝る時間はあるのに、望むような睡眠が取れなくなった
  • 特別な要因が見当たらないのに、最近眠れなくなった

※基準はそれによって本人が苦痛や支障を感じているかどうかになります。

入眠障害の治療薬

ルネスタ

入眠障害に対して、国内で広く使われている睡眠薬です。非ベンゾジアゼピン系に分類される睡眠薬で、筋弛緩作用やが少ないためにふらつきが少なく、耐性がつきにくいために依存性が抑えられています。他のベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べると、ルネスタは睡眠にしぼって作用します。
ルネスタの特徴は、効果発揮が早く、作用時間が短く、翌日に眠気が残りにくい事です。このためルネスタは、安全性の高い睡眠導入剤として知られています。
ルネスタは、覚醒に働いている神経活動を抑えることで眠気を促していきます。「疲れきって眠ってしまうとき」に近い状態を作り出し、強引さのある効き方になります。

一般名エスゾピクロン
分類非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
薬が効くメカニズムGABA受容体に結合し、神経活動を抑制して眠気を促進
薬の特徴 寝つきを良くして、薬の切れも早い
苦味が残る人がいる(個人差あり)
1mg〜3mgまであり、通常は1mgから開始
筋弛緩作用などはなく、鎮静(睡眠)作用のみある
作用時間5時間程度
(最高血中濃度到達時間:1時間)
効き目マイルド
用法・用量1mg錠を1日1回就寝前に(最大3mgまで)
※高齢者は2mgまで
値段安価
主な副作用・味覚異常(36.3%)
・傾眠(3.7%)
・頭痛(2.2%)
・口渇(1.8%)
・浮動性めまい(1.2%)
・不眠症(1.2%)
留意点・注意点 空腹時に服用する必要あり
前向性健忘が見られるため、服用直後は就寝する
高齢者で肝機能・腎機能が悪い方は用量に注意
効果が増強し依存形成するためアルコールとの併用注意

リスミー

入眠障害、熟眠障害に対して広く使わている睡眠薬です。短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。
リスミーは、体の中で代謝されることで4つの物質に変わります。それらが効果を発揮するようにできていて、プロドラックと呼ばれます。そのため、作用がマイルドであるにも関わらず、短時間型の睡眠薬の中では作用時間が長く、穏やかに睡眠をサポートする場合に幅広く使われることがあります。
ルネスタと同様に、覚醒に働いている神経活動を抑えることで、眠気を促していきます。「疲れきって眠ってしまうとき」に近い状態を作り出し、眠りを促します。
ルネスタとは違い、睡眠薬としての働きのほかに、筋弛緩作用や抗不安作用もあります。このため不安や緊張が強い場合には、リラックスした睡眠をもたらしてくれます。
作用時間としても睡眠時間の全体をカバーしてくれているため、入眠障害だけでなく熟眠障害にも効果が期待できます。依存性を形成するほど強いお薬ではないので、効果の強さは他のベンゾジアゼピン系と比べるとややマイルドになります。

一般名塩酸リルマザホン
分類短時間型ベンゾジアゼピン系睡眠薬
薬が効くメカニズムGABA受容体に結合し、神経活動を抑制して眠気を促進
薬の特徴寝つきを良くし、熟眠効果も得られる
睡眠時間全体をカバー
1mg,2mgがあり、通常は1mgから開始
抗不安作用もあり、落ち着いて床に入れる
作用時間10.3時間
(最高血中濃度到達時間:3時間)
効き目ややマイルド
用法・用量1mg錠を1日1回就寝前に(最大2mgまで)
値段安価
主な副作用・眠気(1.48%)
・ふらつき(0.65%)
・倦怠感(0.55%)
・口渇(0.50%)
・頭重感(0.45%)
留意点・注意点朝方に眠気が残ってしまうことあり
軽度の筋弛緩作用があり、高齢者では転倒に注意
高齢者にはせん妄に注意
効果が増強し依存形成するためアルコールとの併用注意

ロゼレム

ロゼレムは、睡眠導入剤として用いられる副作用の殆どない睡眠薬です。メラトニン受容体作動薬に分類される新しい睡眠薬になります。
脳内にあるメラトニン(睡眠リズムを調節している松果体ホルモン)の受容体に作用することで、睡眠を促します。メラトニンは生理的に変動しているホルモンで、夜間に増加して明け方に減少していきます。生理的なホルモンを増やしているだけなので、依存性や副作用がないことが特徴です。
ロゼレムは、自然な眠気を強くする睡眠薬です。私たちの睡眠・覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整し、睡眠状態に仕向けていくお薬です。本来の眠気を強める形ですので、効果が人によっても異なります。
ロゼレムは効果に時間がかかることも多く、2〜4週間ほど使い続けていくうちに効果が認められる事が知られています。こういった特徴のあるお薬なので、ロゼレムは時間的な余裕があるときによく使われます。メラトニンは加齢と共に減少していくので、高齢者に向いていると考えられています。

一般名ラメルテオン
分類メラトニン受容体作動薬
薬が効くメカニズム睡眠リズムを整えて、自然な眠気を強くする
薬の特徴睡眠リズムを整えるメラトニンを増やす
2〜4週間で効果が出始める
依存性が極めて少ない
効果には個人差がある(体質にも依る)
作用時間2時間程度
効き目弱い
用法・用量8mg錠を1日1回就寝前に
値段安価
主な副作用・傾眠(3.4%)
・頭痛(1.0%)
・倦怠感(0.5%)
・浮動性めまい(0.5%)
留意点抗うつ薬のフルボキサミンとは併用禁忌
抗菌薬(ニューキロノン系、マクロライド系)、
抗真菌薬(フルコナゾール、ケトコナゾール)、
抗結核薬(リファンピシンなど)と併用禁忌
効果が増強し眠気が残るためアルコールとの併用注意

治療する上での注意点

・睡眠薬は命に関わる病気に対する薬ではないですが、中枢神経系(脳=覚醒中枢、睡眠中枢)に作用する薬ですので、「薬の量を変更する」「薬剤を変更する」「意図的に中断する」という行動は自己判断で行わないようにしてください。

・比較的、依存性や耐性、副作用が少ないと知られている当院の睡眠薬であっても、急に断薬をすると反跳性不眠(以前より眠れなくなる事)を起こす原因となります。

・薬を減らすときは医師の診察の元、「用量を少なくする(漸減法)」「飲む間隔を空ける(隔日法)」で行います。

お薬の値段

ルネスタリスミーロゼレム
値段(初診)3,850円(税込)3,850円(税込)3,850円(税込)
値段(再診)5,500円(税込)5,500円(税込)5,500円(税込)

※各睡眠薬は1ヶ月分(30錠分)のお値段になります。
※3ヶ月以上のお薬定期配送についての詳しいお値段は料金とプランからご覧ください。

1日あたりの料金は128円〜183円と、精神科や心療内科に通院する料金と同程度の負担で治療を続けられます。予約が簡単なオンライン診療でお薬が自宅に届く事を考えると、時間も節約できます。

入眠改善プラン

「毎晩眠れない」「ベッドに入ると緊張する」「日中も今夜寝られるか気になる」等の症状に対し、入眠までの覚醒を改善するためのお薬を試すプランになります。7日間試してみて、効果や副作用を確認し自分に合う睡眠薬を見つける事が出来ます。

初診4,800円(税込5,280円)
再診3,300円(税込3,630円)

※エスゾピクロン1mg7錠 or デエビゴ5mg7錠・酸棗仁湯14包の処方です。
※エスゾピクロン1mgかデエビゴ5mgは症状に応じたどちらかの処方になります。

睡眠リズム改善プラン

「睡眠リズムがバラバラで寝付けない事が多い」「以前はよく寝れていたのに」等の症状に対し、体内の睡眠リズムを改善するためのお薬を試すプランになります。7日間試してみて、効果や副作用を確認し自分に合うか試す事が出来ます。

初診4,800円(税込5,280円)
再診3,300円(税込3,630円)

 ※ラメルテオン8mg7錠の処方です。

よくある質問(症状・治療)

入眠障害は治りますか?

多くの睡眠障害は治ると言われています。

重篤な疾患がベースにあったり、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠関連疾患がない場合、その多くは「生活習慣・生活リズム・睡眠への認知・ストレス」に原因があることがほとんです。その場合、生活リズムの是正と睡眠薬による適切なコントロールで治ります。

認知行動療法とはなんですか?有効ですか?

現在の睡眠パターン、睡眠時間、日中の活動など睡眠に関する情報を洗い出し、自分の睡眠に対するイメージ(=認知)を少しずつ変えていくことです。

「睡眠とはこうでなければならない」というイメージを手放し、自身がより楽になる様な考え方に変えていきます。今の日本の精神科・心療内科の外来で専門的に認知行動療法を行える箇所は少なく、現状は睡眠薬で対応しているのが現実的に問題となっています。

霧島オンライン睡眠クリニックとしてはどのようなアドバイスがありますか?

床について眠れない時は以下の様に考えてください。

・人間は横になって目を瞑っているだけで脳は休んで回復している

・ハッキリ意識はある(起きている)けど、脳をしっかり寝れている

薬を服用しても車は運転できますか?

睡眠薬は、原則的にすべてのお薬が運転や危険作業が禁止となっています。

しかしながら、不眠のままで運転する方が悪影響があるかもしれませんし、薬を服用したら運転禁止とするべきかは悩ましいところです。作用時間が短く、翌朝に残りにくいという特徴を持った薬もあります。現実的に、自己責任にはなりますが、お薬を服用しながら運転されている方もいるのが実情です。

妊娠・授乳期に関して睡眠薬を服用しても大丈夫ですか?

妊娠への影響(FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準)、授乳への影響(Hale授乳危険度分類)では明らかにネガティブな影響は報告されていません。

ですが、完璧に全く影響がないとは誰も言い切れません。母乳で育てることは児へ良い影響がある事から、授乳中は①人工乳哺育にする②睡眠薬の量を減らす(減量や半錠)などの工夫をお勧めしています。